Pal-Semi Vol.5 ”売場づくり”の基礎知識

売場づくりに重要な”インストア・マーチャンダイジング”とは?

 
 皆さんこんにちは!今回のパルゼミは『売場づくりの基礎知識』をテーマに生活者との接点である”売場”に関する理解を深めていきましょう。今日の売場づくりは『ISM(インストア・マーチャンダイジング)』の理論に基づき実施されていますので、まずはISMに関する簡単な説明を行います。ISMとは、
 
①小売店頭で、
②市場の要求に合致した商品および商品構成を、
③最も効果的で効率的な方法によって、消費者に提示することにより、
④資本と労働の生産性を最大化しようとする活動
 
のことを指します(インストア・マーチャンダイジング / 田島義博)。要するに『店頭を起点にして生活者に商品を売るための活動全般』と言い換えることができるでしょう。またISMは大きく分けて『スペース・マネジメント』と『インストア・プロモーション』から構成されており、スペース・マネジメントはさらに『フロア・マネジメント』と『シェルフ・マネジメント』に、インストア・プロモーションは『価格プロモーション』と『非価格プロモーション』に分類することが可能です(下図)。
 

 
 前回のパルゼミ(Pal-Semi Vol.4 インストア・プロモーションの重要性)においてインストア・プロモーションに関する基本的な解説はすでに行っておりますので、今回のパルゼミでは『スペース・マネジメント』の考え方を中心に解説を行っていきたいと思います!
 


 

”売場づくり”の主体は誰?~カテゴリー・マネジメントの考え方~

 
 スペース・マネジメントのより詳細な解説を行う前に、まずは”売場づくり”を『誰が』主体となって行うべきか簡単に説明します。もちろん売場は小売業が計画・管理するものですが、メーカーにとっても最終的な売上が決まる場であり、小売業・メーカーの利害が一致する場であるとも言えます。したがって、今日では小売業の仕入れ担当(バイヤー)とメーカーの営業担当が協同して売場づくりを行うことが一般的となりました。
 
 しかし、小売業とメーカーが協同して売場づくりを行うためには『何を戦略的事業単位として設定するか?』という問題が発生します。当たり前のことですが小売業の戦略的な事業単位は店舗であり、店舗の売上・利益を高めることがその目的です。反対にメーカーの戦略的な事業単位はブランド(もしくはアイテム)であり、ブランドの売上・利益を高めることがその目的となります。店舗の売上・利益を高めたい小売業とブランドの売上・利益を高めたいメーカーがそれぞれの主張を展開しているだけでは、双方が協力して売場づくりを行うなどいつまで経っても不可能です。このような課題の中で小売業とメーカーが協力して売場づくりを行う方法を模索した結果、現在では『カテゴリー』を戦略的事業単位として設定する流れが生まれました。まずは下記図をご覧ください。
 

 上記は小売業とメーカー間における戦略的事業単位の視点の違いを表した図となります。小売業の最も重要な戦略的事業単位は『店舗売上』であり、その後に『部門売上』『カテゴリー売上』『サブカテゴリー売上』『ブランド売上』と続きます。反対にメーカーの最も重要な戦略的事業単位は『ブランド売上』であり、その後に『サブカテゴリー売上』『カテゴリー売上』『部門売上』『店舗売上』と続きます。また、それぞれが最も重要視している『店舗売上』と『ブランド売上』は、『店舗売上=カテゴリー売上の総数』『ブランド売上=カテゴリー売上×インストア・シェア』と表せるため、『カテゴリー売上』の増加が双方の利益に直接的に貢献する要素でもあると言えるでしょう。このような状況の中、今日の売場づくりは『小売業とメーカーが協同』し『カテゴリーを戦略的事業単位と設定』した上で行うことが基本となっており、このような売場づくりを『カテゴリー・マネジメント』と呼んでいます。
 


 

”スペース・マネジメント”の具体的フロー!

 
 さて、それではいよいよスペース・マネジメントの具体的なフローについてご紹介したいと思います。すでに前述してますが、スペース・マネジメントは『フロア・マネジメント』と『シェルフ・マネジメント』に分類することが可能です。そしてどちらのレベルにおいても、
 
①品揃えの策定
②配置の最適化
 
という流れを基本に実作業が行われます。以下、それぞれの作業の詳細を、そのポイントとあわせてご説明します。
 
 

フロア・マネジメント×品揃えの策定

 

 フロア・マネジメント(=フロアレイアウトの設計)における品揃えの策定とは、売場で取り扱うカテゴリーの選択とその売場スぺースの配分を決定することを意味します。これは仕入れ可能なカテゴリーの中から生活者のニーズに対応したカテゴリを選択し組み合わせる作業であると言い換えることもできるでしょう。しかし、もちろん生活者のニーズを全て満たすことは空間上・管理上の問題から困難ですので、優先順位を付けた上でカテゴリーを取捨選択する必要が発生します。

 

フロア・マネジメント×配置の最適化

 

 フロア・マネジメントにおける配置の最適化とは、店舗のレイアウト設計、ひいては店舗の導線設計を意味します。前段階において売場で取り扱うカテゴリーの選択とその売場スペースの配分が決定しているので、本段階では決定したカテゴリーの配置(レイアウト)を決定していきます。また、その際に最も重要となるポイントが、『生活者の店舗滞在時間をできる限り延ばすこと』を意識したレイアウト設計です。なぜ生活者の店舗滞在時間をできる限り延ばすレイアウト設計が大切であるかと言うと、基本的に生活者の買上点数と店舗歩行距離が比例関係にあるためです。つまり生活者の店舗歩行距離(≒店舗滞在時間)が長くなればなる程、店内における生活者と商品の接触が増え、その結果として生活者ひとり当たりの買上点数向上効果を期待することができます。

 

シェルフ・マネジメント×品揃えの策定

 

 シェルフ・マネジメントにおける品揃えの策定とは、カテゴリーに属する仕入れ可能な商品の中から、生活者のニーズに則した商品を取捨選択する作業を意味します。品揃えの策定においては、ターゲットとなる生活者に対し店舗がどのようなポジショニング戦略を取るのかを前提に、カテゴリー(あるいはサブカテゴリー)のマーケット・カバレッジ(市場カバー率 /品揃えに含まれる商品が市場シェアの何%を占めているか?)を基本に検討する流れが一般的です。また、もし仕入可能な商品の中に生活者のニーズを満たす商品が無い場合、PBの開発、もしくは仕入れ先の開発という形で仕入可能な商品を小売業自らが拡大する必要が発生します。

 

シェルフ・マネジメント×配置の最適化

 

 シェルフ・マネジメントにおける配置の最適化とは、いわゆる陳列の設計を意味します。陳列の設計は、グルーピング、ゾーニング、フェイシングの順に実施する流れが一般的です。グルーピングとはカテゴリー内のアイテムをサブカテゴリーにまとめる作業を指し、棚割の中にサブカテゴリー毎のまとまりをつくることで店舗内における生活者の情報処理を効率的にする効果が期待できます。またゾーニングとは棚内におけるサブカテゴリー毎のスペース配分・配置位置の決定を指します。その際、スペース配分はサブカテゴリーの予測売上高に比例して配分し、配置位置は人間の視野の範囲に基づき決定します。生活者が棚の前に立った時の自然視野(=人間が自然に視野を向けている状態の視野)の範囲内に一つのサブカテゴリーが収まるようにゾーニングすることが理想的です。グルーピング・ゾーニングが終わったら、最後にフェイシングを実施します。フェイシングとはサブカテゴリー内のアイテムのフェイス数(≒棚内の商品の陳列個数)を決定する作業を指します。売上に応じて適切なフェイス数を設定することで、生活者から見た時に欲しい商品を探しやすい売場をつくることが可能になります。

 

 

 このようにスペース・マネジメントは、フロア・マネジメントのレベルにおける品揃えの策定&配置の最適化、シェルフ・マネジメントのレベルにおける品揃えの策定&配置の最適化を行うことで、店舗を訪れた生活者にとって便利な店づくりを実現しています。

 


 

まとめ

 

 以上、本日のパルゼミでは『売場づくりの基礎知識』を、ISMの観点、特にスペース・マネジメントを中心に解説を行いました。ややアカデミックな内容になってしまいましたが、本日ご紹介した知識がベースとなり、現場におけるスペース・マネジメント計画が実施されます。より現場に近い”売場づくり”に関する知識は、次回以降のパルゼミで解説しますので、まずは上記内容をしっかりと理解することに努めましょう。
 


 

参考文献

セールスプロモーション基礎 販促会議編集部

インストア・マーチャンダイジング 第2版 公益財団法人 流通経済研究所

今すぐ売上が伸びる!店頭プロモーション術 中沢 敦

 

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