Pal-Semi Vol.8 ”CRM(顧客関係管理)を理解する”

CRMの理解を深める

 
 みなさんこんにちは!本日のテーマは、「CRM」です。よく耳にする言葉ではありますが、どのような場面で使う言葉なのか、何を指しているのかがわかりづらく、難しいマーケティング用語の1つかと思います。今回のパルゼミでは、対消費者における「CRM」を解説します!
 
さて、そもそもCRMという言葉ですが、「Customer Relationship Management」の頭文字をとったものです。直訳だと「顧客関係管理」となります。顧客(消費者)と良好な関係を築き、また、企業として消費者をもっとも重要なポジションに置いたマーケティング全般のことを指します。しかし、「CRM」という言葉は、とても広い範囲をカバーしている言葉です。そこで、このパルゼミの中では以下のように呼び分けることとします。
 

■CRMマーケティング

優良顧客を獲得するために、顧客と良好な関係を築こうとする活動

■CRMツール

CRMマーケティングを行うために導入するツールやシステム
 
それでは早速、詳しく見ていきましょう!
 

 


 

そもそもCRMとは?

 
 CRMと混同されやすい言葉として、MAが挙げられます。MAとは、「Marketing Automation」を略したものですが、CRMとMAは導入する目的がまったく違います。まずMAは、まだ購入はしていないが、商品に興味を持っている【見込み客】を管理・育成するためのものです。対してCRMは、すでに購入を完了している【既存顧客】を【優良顧客】へと育成し、また、【優良顧客】を自社の商品から離さないために管理するためのものです。図で表すと以下のようになります。

 

 
 どのような目的かによって、どちらを導入するか見極める必要があります。CRMマーケティングを行う際に登場するのが「CRMツール」です。CRMツールの主な役割は、顧客の情報のとりまとめや、分析を行うことです。現在すでにいる顧客の、購入履歴やコンタクト履歴などを管理し、属性(年齢や居住地など)や購入動機、志向、ニーズなど様々な情報を管理・分析します。さらに、ツールによっては、優良顧客を育てるために行うプロモーション(販促)の機能が備わっていることもあります。
 


 

”いま”CRMが注目される理由

 
CRMへの理解が深まったところで、CRMが注目されるようになった背景を見てみましょう。大きく以下の3つが注目される理由だといわれています。
 

①少子高齢化

購買に積極的な若者が減り、少ない若者を取り合う顧客競争が生まれる。

②インターネットの普及

消費者が簡単に、商品の比較をできるようになり、顧客離れが起きやすい。

③日本経済の低迷

市場自体が縮小したり、購買への動きも非活性化していて、新規顧客の獲得に至りにくい。
 
このような時代背景により、「既存顧客」を、長い目で自社の商品から離れさせないようにすることが重要とされるようになりました。顧客が生涯で企業にもたらした価値のことを、LTV(Life Time Value)といいます。このLTVを高めることが、企業にとって生き残りの鍵となってきているのです。フィリップ・コトラーによると、CRMマーケティングを行うことで、販売するチャネルや、接触方法、購入後のアフターケアに至るまで、顧客個人個人に、カスタマイズしたサービスができるようになります。顧客を詳細にセグメントすることで、各々のニーズにダイレクトに応えられるようになり、それが結果としてLTVの向上に繋がります。
 


 

CRMの仕組みとは?~CRMの基本サイクル~

 
さて、ここからは、実際にCRMマーケティングを行うときの基本的な流れを解説します。以下の図をご覧ください。
 

 
こちらがCRMマーケティングのサイクルです。1つ1つ詳しく見ていきましょう。
 
■顧客の分析
CRMマーケティングでは、すべての顧客を追うのではなく、優良顧客となりうるような顧客を追います。ここでは、各チャネルや接触ポイントからの情報を基に、顧客のデータベース化を行います。
 
■価値の見極め
ここでいう「価値」とは、顧客が自社にもたらしてくれる価値のことです。分析をもとに顧客を分類し、各セグメントにおけるニーズを調査します。そのニーズに応えることで、どの顧客層がどのような利益を自社にもたらすのか検討します。
 
■セグメントごとにコミュニケーションをカスタマイズ
各々のニーズに対して、サービスやコミュニケーションをカスタマイズします。ここのフェーズが、優良顧客の育成に最も繋がります。
 
■顧客の離反を減らす
せっかく育成した優良顧客も、別の企業にとられてしまっては意味がありません。常にニーズに応え続けることで、顧客離れを防ぎ続けます。
 
■顧客の差別化を行う
収益性の低い顧客からの利益を向上させるのではなく、現状すでに利益をもたらしてくれている優良顧客に対して時間をかけるようにします。そうすることで、評判も広まり、自ずと新規顧客の獲得にも繋がり、また「価値の見極め」へと戻ることとなります。
 
このようなサイクルを回すことで、結果的にLTVの向上へと繋がります。次はいよいよ、CRMの事例を見ていきましょう。
 

①リッチモンドホテル

 リッチモンドホテルでは、一度利用があった顧客に対して、LINE上で簡単に予約ができるサービスを導入しています。「いつもの人数」「いつもの部屋」というように予約することができ、なんと、最短3秒で予約が完了してしまうようなサービスです。この場合、既存顧客への「差別化」が大きなポイントです。既存顧客が持つ、「毎回の予約が面倒」「いつもと同じで予約がしたい」というようなニーズに応えるようなサービスとなっています。他のどのホテルよりも簡単に、スピーディーに予約ができるとなったら、第一候補として挙げてもらえる可能性は格段にあがるでしょう。
 

②ロクシタン

 ロクシタンは、「既存顧客の育成」と「優良顧客への特別なサービス」に力を入れています。こちらもプラットフォームはLINEです。既存顧客の育成では、一度すでに来店してくださった方に対して、再来店を促すメッセージを配信したり、また、ショップカードを設定し、特定のミッションをクリアすることでLINEスタンプがもらえるなどのサービスを行っています。これにより、顧客の育成と、顧客情報の収集が同時に完了します。優良顧客への特別なサービスでは、ショップカードが特別なものにアップグレードされる仕様です。アップグレードされると、無料配送のサービスや、ロクシタンスパの優待などが受けられるようになります。優良顧客を「差別化」することで、店頭以外のところでも顧客に価値をもたらしてもらうことがポイントですね。
 
どちらのCRMマーケティングにも共通していることは、顧客を差別化していることです。すべての顧客に対して平等なサービスを提供するのではなく、もたらしてくれる価値によってサービスにも変化をつけることがCRMマーケティングです。そして、もう1つ共通していることがあります。それは、「プラットフォームとしてLINEを使用していること」です。実はいま、CRMマーケティングは、LINEで行われることがとても多くなっているのです。その理由を次の章で解説します!
 


 

実は相性が良い!~LINEを活用したCRMマーケティング~

 
LINEで行うCRMマーケティングの前に、まずはLINEの特徴について見てみましょう。
 

 
 利用状況ですが、MAUが8,000万人、DAUでも約7,000万人ととても高い利用率ですね。国内最大のコミュニケーションプラットフォームであるといっても過言はないでしょう。さらに、属性を見てみても、男女、年代でほとんどばらつきがないことがわかります。毎日利用する人が多く、属性のばらつきも少ないことを考慮すると、顧客との接点としてとても適したプラットフォームといえます。もう1つ、LINEの大きな特徴として、「顧客と個別のコミュニケーションがとれること」があげられます。顧客に、確実にメッセージを届けることができるというのは、マーケティングにおいてとても大切なポイントです。それを叶えることができるというのは、注目される大きな理由ですね。
 
 LINEでCRMマーケティングを行いたいと思ったとき、「CRMツール」を導入することで、それがさらに容易に、かつ精度が高くできるようになります。CRMツールを導入すると、ロクシタンでの事例でもあったように、1度来店した人、2度来店した人…というようにセグメントごとに別々のメッセージを配信することができるようになります。これによって「自分に関係ない」と感じてしまい、アカウントをブロックされてしまう可能性が格段に下がります。つまり、「顧客の離反を減らす」ことができるのです。
 
 さらに、ツールによっては、LINEの中でキャンペーン、つまり販売促進までできてしまうツールもあります。一般的な消費者キャンペーンは、webやハガキが経路としてあげられますが、レシートを貼ったり、レシート画像をアップロードしたりというのは、消費者にとって手間な部分でもあります。しかし、その経路をLINEにすると、レシートの画像を撮影し、アカウントのトーク画面に送信するだけで応募が完了し、そのニーズに応えることができるようになります。さらに、キャンペーンで回収したアンケートデータはその後のCRMマーケティングに活かすこともできます。
 
 このように、CRMマーケティングをするにあたって、one to oneなコミュニケーションをとることができるLINEは、非常に適したプラットフォームだといえます。最近、公式アカウントの料金形態が改編されたことで、どんな企業でもLINEに参入がしやすくなりました。この機会に、公式アカウントに挑戦してみてはいかがでしょうか?
 


 

まとめ

 
以上、今回のパルゼミではCRMについて解説させていただきました。顧客のセグメントに対して、適したコミュニケーションを行うことで、離反防止やさらなる優良顧客への成長が期待できます。CRMマーケティングで、ぜひ、長期的な”ファン”を獲得しましょう!
 


 

参考文献

フィリップ・コトラー ケビン・レーン・ケラー著『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント』

sunbridge「マーケティングオートメーション(MA)と顧客管理システム(CRM)との違いとは?」

 

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